1(ゾイ)

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「かわいい って思うことに、特別な何かも くっついてる感じだよね。 ゾイなら、かわいい じゃなくて カッコいい になるのかな? ミカエルのこと。 特別の カッコいい、って」 「もう... 」 今は、私のことは いいのに... デザートローズの赤い縁から 自分の膝に眼を移した。悪魔(ゾイ)の時の私の膝は、細身でラインが直線的。膝こぞうにも丸みがない。 ジェイドは、いつもみたいに笑ってる。 だけど、よく考えてみると “話を聞く” ってことを、そんなにしたことがない気がする。 会話とは違って、相手の心が痛んでいる こういう時に。 天は、すべてに於いて 調和が取れてる。 そうそう大きく気持ちが動くことはなくて 誰かの こうした気持ちの話を聞いたことはないし 私がすることもなかった。 堕天した天使や 消滅した天使を悼むこととも違うし、癒やすこととも違う。 こういう時も 普段も 私より ジェイドの方が ずっと、聞くのが上手だし 話すのも上手。 上手 という言葉には、語弊があるのだけど。 使命で地上にも降りる 上級天使のことは分からないけど、こうしたことは、下級天使たちより 人間同士の方が()けているんじゃないかって気がする。
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