新人と先生

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一人暮らし歴三年目、前職の給料では生活もままならなくておもいきっての転職を決めた。 「おもいきりはいいけど、本当に大丈夫なの?」 「何とかなる。」 私の事を心配してくれる優しい友人の愛結(あゆ)。私のいい加減な性格を呆れた顔してため息をつく。 「何とかねぇ。それもそうだけど、新しい職場に出会いがあればいいね?」 「そうくるか…」 友達以上恋人未満な人はいるけど、前に進まない。 私の魅力や色々がかけているのかもしれないと反省する。 「早くラブコメ聞かせてね。」 「そんな人が現れたらね。」 …と言ってた二日前。今は、机にむかい暗記用の用紙をにらめっこしながらみてルーズリーフに書いて覚えていた。 「大変そうだね。」 「はい。暗記苦手で苦戦してます。」 「勉強苦手?俺もそうだけどね。」 難しい顔して眉間にしわを寄せていたのか、新人の私に男性が声をかけてくれた。 「きっと、今日辺り夜に知恵熱が出ます(笑)」 「勉強のし過ぎで?」 「そうですね。使わない頭を使うので。」 「頑張ってね。」 ニコッと微笑んで優しく肩にソフトタッチしてくれたお兄さんは、私が配属された部署のリーダーだった。 「勉強頑張ってる?いきなり5枚暗記しなくていいからゆっくり焦らなくていいから覚えるんだよ。」 「はい!ありがとうございます。」 さっきのリーダーさんとは違ってふわふわの癒し系男子の明るい気さくな人は私より年下?とか思いながら敬語で話していた。 「分からない所ある?」 私が座っている隣の椅子に腰をかけて、私の暗記用の紙をとり読んでいた。 「分からない事だらけですよ。」 「それもそうだね(笑)いきなり、マニュアル読んで覚えるんだから。」 「あの…もしかして、私に指導してくれる人ですか?」 「うん。一応そうなってるよ。あっ、初めましてだね。僕は阪下和宏(さかしたかずひろ)です。よろしくお願いします。」 「初めまして。私は、橘真優花(たちばなまゆか)です。よろしくお願いします。」 椅子に座りながら指導してくれる阪下さんに向かって挨拶をした。柔らかい笑顔とほのかに香るいいにおいにうっとりなっていた。
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