綺麗に染めてあげるわ

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 拘束を終えて、女がゆっくりと俺から離れていく。  正面に立ち、満足な笑みを浮かべて、俺を見下ろしている。  女の手が俺の両頬を優しく包む。その手が、すうっと首筋から胸元へとなぞるように降りていく。  女の笑みが少し大きくなったと感じた瞬間、いきなりバスローブをはだけさせられた。  突然のことに、顔が熱くなる。上半身を露にさせられて、羞恥心が芽生えた。  そんなことはお構いなしに、女は俺の膝の上に股がってくる。  タイトスカートが若干捲れて、黒のガーターストッキングの境目から奥へと続く、白い太腿が見える。  俺は唾を飲み込んだ。艶かしい白から目が離せない。  女の左手中指が、俺のはだけた胸元を、触れるか触れないかでなぞる。  右手はまた脇の鞄に伸びて、今度は黒いアイマスクを取り出した。 「今から、あなたの忘れている感覚を呼び起こすわ」  そう言いながら、俺の視界を奪う。  目の前が真っ暗になり、期待とも恐怖ともつかない感情を覚える。 「人間は視覚に頼り過ぎてるのよ。ねえ、昔は想像でオナニーできたでしょ? それが段々映像を含めた媒体なしではできなくなってく。具体的な刺激を得る代わりに、想像力を無くしてくの。だから、視覚以外の全てを使って、わたしを感じて」  女の言葉が素直に頭に流れてきて、渦を巻く。  微かに布がすれるような音が聞こえる。そして、薄く軽いものが、俺の鼻先を包む。女の石鹸のような香りがする。 「今、わたしも服を脱いだわ。上は黒のブラだけよ。さあ、想像してみて」  さっき見えた、女の黒いブラジャーと白い谷間が頭に浮かんで、いっぱいになっていく。
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