竜二の告白

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 物好きな篤志家じゃあるまいし、  ただの善意であんな多額の借金を肩代わり  してくれたわけではない。  (あぁ、ほんとダメだな俺は……これだからあつしに   マモはいつまで経ってもお子ちゃまだって、   茶化されるんだ……)  しっかり、しないと……         「……見損なったか? それとも、いい迷惑だった?」  挑戦的な目の竜二から言われた、  気弱な発言に戸惑う。     「昨夜お前を拾って、自分のマンションに匿ってから  必死こいて調べたら、お前が親父さん達の  亡くなった時スズメの涙ほどの遺産と一緒に  莫大な借金も相続したと分かった。  そして、今まで何回も自殺未遂をしたって事もな」      竜二は真守をヒョイと軽々お姫様抱っこして、  そのままソファーに座った。    そのままだから、当然真守は竜二の膝の上だ。    真守は今さらながらこんなシチュエーションが  とんでもなく恥ずかしくて。俯いた。  竜二を真っ直ぐ見る事ができない。     「まだ、死にたいか?」 「ん……そ、それは……」  もうっ!   (こんな状況でよくそんな事が聞けるな!)    竜二が小さく ”プ”っと噴き出した。     「??……」 「お前、かお真っ赤」 「う、煩いな……」  なんて強がってみても、  本当に真守の顔は耳まで真っ赤っ赤、なのだから  ちっとも格好つかない。     「かーわいぃー! でもこんな顔、俺以外の前で  見せんじゃねぇぞ」   「可愛いって何だよっ。それに、その俺様発言も  気に食わねぇ」   「ならコレ、なかった事にすっか?」  と、例の完済証明書を真守の手から取って、  ヒラつかせる。   「あーっ! 今になってそんなこと言うなんて  きったねぇぞ」    「でも俺は、マモが自分から身を任せてくれるまで、  キス以外はしねぇから」   「え ―― っ、でもそれって……」  (蛇の生殺し、なんじゃね?)     「それくらい、マモには惚れてるって事さ」 「……」  (そんな事、急に言われたって   にわかに信じ難いけど……   今はもう少しだけ、幸せな気分に浸っていよう)
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