ぼくは

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小さい頃から僕たちは一緒に生きてきた。 桜の花が満開に咲いたある日、僕はひいおばあちゃまに抱かれた君に初めて出会った。最初君も僕もお互い無関心だった。それでもひいおばあちゃまは僕に君の話を、君に僕の話をたくさんしてくれた。僕は君より先に少しずつ君に関心を持った。 君が僕を認識し始めた頃、君はいつも僕を見つめるだけだった。引っ込み思案で恥ずかしがり屋の君。いじったらしくて僕は目をそらしたいのに逸らすことができなかった。そしてある日突然君は僕に顔を近づけてきて、僕をぎゅっと抱きしめた。それはいつもひいおばあちゃまが君や僕にするのを真似たようにだった。温かい。君の体温を初めて感じた。そしてひいおばあちゃまと同じ甘くて優しい香りがした。
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