君と愛を唄おう

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好きだけじゃ駄目だと思った。 上手くなりたい、圭吾さんの助けになりたいと改めて強く思った。 そっと圭吾さんの手を取り握り締めると、彼の顔から笑顔がこぼれた。 ただそれが嬉しくて、でも少しだけ切なくて俺も困った様に笑いながら圭吾さんを見上げた。 ◆ 元々音楽は好きなので移動中とかはイヤホンでずっと何かを聴いてるんだけど、ここのところはずっとライブで歌う予定の曲をエンドレスで流している。 ボカロが歌っている物と自分がアップしたものと、それから、ミヤさんがデモ用に歌ってくれているやつ。 ボカロが歌ってるやつは音程が正しいものになっているので確認用、自分が歌っているやつはどこがいけないのか確認する用だ。 数日に一回、録音して今の状態のチェックもしている。 ミヤさん…というか圭吾さんが歌ってるのを聞いてるのは完全に、完全に俺がただ彼の声が好きだというだけだ。 女々しいな、と思う。 だけど、彼の声を聞いているだけで幸せなのだ、好きだと思うのだ。 通学中も、休み時間もただあの人の声を聞いていたいとかもはや末期だと思う。 大学で昼ご飯を食べていた。 友人に偶には飲みに行かないかと誘われたが断った。 とにかくライブまでは歌に集中したかった。     
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