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守り刀と対魔師の日常
「目覚めよ」
声が聞こえる。男の声だ。
どこか聞き覚えのある声だった。遠い昔に聞いたような気がする。
「目覚めよ、今剣」
私を呼ぶのは懐かしくて心地よくて、少し悲しい響き。私の耳をくすぐり、遥か彼方に置いてきてしまった記憶を呼び起こす。
「……の名において命ずる。目覚めよ」
でもちょっとうるさいわねぇ。
私はまだ目覚めたくはない。この深い眠りの中をたゆたっていたい。
「目覚めよ、我が守り刀!」
ああもう。あと少しでいいから。そう、具体的には――。
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