《続きはこんな感じです》

6/35
896人が本棚に入れています
本棚に追加
/348ページ
「それ、全部、手土産か?」 「あ、うん。どれも美味しそうだったから皆で食べたくて」とほくほくした笑顔で言うものだから、何も言えなくなる。 「お母さん、目、くりくりで顕に似てないね」 「そうかもな。俺はどちらかというと父親似だしな」 「そうなんだ」 じっと俺の顔を見ると「なんかここにいるの、すごい不思議で、すごい嬉しいな」と感想を述べた。 可愛らしく笑うものだから、そっと近づいてキスをした。 ぽかんとした顔で見つめるので、もう一度唇を重ねようとすると、ドシドシと足音が近づいてきた。 「顕人ー!!」と、勢いよく襖が開いた。じいさんだった。 「おお、この人が真唯子さんか」とにじり寄ってくるので、思わず阻止する。 「初めまして。小千谷真唯子です」と座ったままぺこりと頭を下げる。 「これ、じいさん」と簡単に紹介すると「祖父の彰文(アキフミ)じゃ。アッキーと呼んでくれ」と、親指をたてる。 いや、その呼び方俺と被りかけててややこしいし、それでなくてもやめてほしい。 「はい、アッキーさん」と律儀に真唯子が答えるので、「いや、じじいで大丈夫だ」と揶揄した。 「こりゃ、じじいとはなんだ」 「……後で紹介するから、とりあえず、向こう行ってろ」 じいさんも負けじと火花を散らし始める。どうも昔から、じいさんとは折り合いが合わない。
/348ページ

最初のコメントを投稿しよう!