瀕死から始まる魔王の生活

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広間程ではないが、眼前にある扉もやや大きめで装飾が細かく施されていた。 扉には繊細で複雑な幾何学模様のようなものが描かれている。 三つ目男がまたもや扉に手をかざすと、目の前の扉は静かに、ゆっくりと開いていく。 扉が開くと、何やら水が流れるような音が中から聞こえてきた。 三つ目男は俺の体を支え直すと、その部屋の中へと俺を誘導した。 ようやく着いたのか。 しかし、今時の手術室はなんかすごいな。 最後の力を振り絞って俺も三つ目に引きづられて部屋の中へと入った。 目の前がパッと明るくなる。 今までの黒一色とは違い、部屋の中は白一色だった。 いや、緑か。 壁や床は確かに白いタイルだが、所狭しと草木が生えている。 見たこともない植物ばかりだ。 茶色い皮に毒々しい黄色の斑点が入っている実や、「恐怖に叫んでいる人をそのまま木にしちゃいました」とキャッチコピーがありそうな不気味な木々。 そして、それらを覆い尽くすように生い茂った無数の棘だらけの葉や茎。 うん、危険な予感しかしない。 少なくとも観賞には適していない。 部屋は20畳程の広さだろう。 生い茂った植物達のど真ん中、植物達を突っ切るようにして黒いタイルの道がある 。幅は1m程、距離にして3、4m程であろうその道の先には、この部屋にそぐわない綺麗な噴水があった。     
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