プロローグ

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「…ふぅ。今日もよかったよ、美里ちゃん。」 そう言って男は、そそくさと乱れた服装を整え始める。 さっきまで熱に浮かされ、興奮していた表情が嘘のようにスッキリとしている。 そして、身支度をあっという間に終えると財布からお札を何枚か取り出す。 恐らく、頭の中には奥さんにバレないために早く帰ろうと必死なのだろう。 …あんなに熱く絡み合った直後なのに。 (ま、男なんてそんなもんか。ヤれればいいんだもんね。) ベットに横たわったままの少女は、虚ろな瞳でゴロン、と寝返りをうつ。 そんな彼女に、男は近付きお札を差し出す。 「はい、これ。今日の分。また、頼むよ。」 少女はむくりと起き上がるとぼーっと目の前でヒラヒラと泳ぐ紙を見つめる。 そして―― 「美里もすっごくよかった。ありがと、おじさん。 」 心の声とは裏腹に、愛らしい笑顔でそれを受けとる。 (これが…私の価値。こんな屑な男にしか必要とされないの―)
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