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自分のニヤけた顔が、電車の窓にうつっている。
見えないよう、思わず角度を変えた。
すると、天下の山手線である。
隣りのおじさんの鞄に、がつりと頭を打った。
「…すみません」
「あ、いや、こっちこそ」
そんな会話をして、どちらからともなく目をそらす。
自分のニヤけ顔が見えてしまうが、
まぁ、次の駅までだし、良いことにしよう。
吹き出してしまいそうだったので、
なるべく、窓を見ないように心がけながら、
あたしはドアが開くのを待った。
渋谷の人込みに、流されるようにして、
山手線を降り、次の電車に乗り換える。
もちろん、その間も、
バッグの中の箱のことを考えっぱなしだった。
ちょっと。ぶつかってこないでよ、おばさん。
潰れちゃうじゃないの。
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