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Happy birthday?
「「「「お疲れ様です!!」」」」
訓練された軍の隊員の如く、その場に居た者達は口を揃えた。当然私もそれに倣う。
「また来週!」
「気をつけて!」
とまるで線香花火の終焉のごとく、とぎれとぎれにテンプレートの様な言葉を呟いて会場を後にする会社の人たち
首元に冷たい風が滑り込んできたので腕にかけていたマフラーを素早く巻いた
(新人歓迎会疲れた…正直職場の飲み会とかやってらんないし家で飲み直そう)
大きなため息をつくと白い吐息は静かに空へと吸い込まれていく
静かに私は、家路に就くことにした。
(今日は一段と冷えるなぁ)
ポケットに両手を忍び込ませつつ、帰ってから何をするか考えようにもイマイチ思考が纏まらない。
まるで頭の中が砂嵐の如くノイズが駆け巡る。
きらびやかなイルミネーションに彩られた商店街
世間は新年度が始まって浮き足だっていると言うのに、まるで自分は何処か蚊帳の外に居るような気がして。
それを認めたくいないのだろうか思わず小さく誰にもバレないようにため息をつき悪態を吐いていた。
「くだらない………」
街の喧騒を後ろへと追いやり、気が付けば、自分の住むマンションのエントランスに到着していた。
プログラミングを叩き込まれた操り人形の如くエレベーターの中に入り、七のボタンを押した
少しばかりモーターが唸るような音をあげて駆け上がっていく。
目的階につくと静かにとまり、ゆっくりと扉が開かれた。
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