ガラスの靴を履いたら

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けれど、そんなことにも航は理解をしていて、無理に束縛することもなく、かと言って過剰に構うでもなく、小春にとって心地良い距離のところにいてくれる。 そうして、会えば必ず甘く小春を溶かしてくれるのだ。 本当に、好きってすごい、と小春は思う。 今まで、小春は音を奏でるよりも好きなものはなかった。 今でもいちばん好きなのは、演奏することだと思う。 けれど、それに負けず劣らず、航が好きなのだ。 最初は、その優しさに驚いた。 海外で、あんな風に声を掛けて助けてくれるとは、なんて親切な人なんだろうと思って。 そして、もちろん最初にも感じていたけれど、特に最近思うこと。 ──航さんて……カッコいいんですよねぇ。いわゆる、イケメンとゆーのでしょうか? 小春は男性は苦手なのだが、お付き合いを始めると、むしろ航が大丈夫なことに驚いていた。 航には背も高く、身体は割と男性的で、今までの小春には苦手なタイプのはずなのだ。 けれど、柔らかい雰囲気や、優しさが先立っているのと、外見も身長が高いのに繊細に綺麗な人なので、圧迫感がないせいかもしれない。 ハーフ、でしたっけ? お母様が海外の方なのだとは最近知った。 そのお母様も先日、コンサートに来て、楽屋にも来てくれた。 とても明るくて、素敵な人だ。 最近の小春はとても、とても幸せなのだ。
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