ガラスの靴を履いたら

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そして帰ってきてお付き合いするようになってから、航には少しだけ、怒られた。 結果、上手くいったから良かったものの、あんな風に言っちゃダメ、と。 あんな風……? 「私を抱いて下さい、とか。」 それを航にソファの上で耳元でささやかれたら、ものすごく大変なことになった。 とんでもなくドキドキして顔が真っ赤になってしまって、それを航にからかわれたのだ。 「なんで自分で言うのは良くて、僕が言うとそんなんなっちゃうわけ?」 だってあの時はとにかくそれしかないと思ったし、もう夢中だったのだから。 それでも甘く笑いながら、 「でも、あの時はるちゃんを抱いて良かった。」と言って、そのままソファに押し倒されたのだから、本当に怒ってはいないと小春は解釈している。 結局のところ、航は小春にとても甘いので。 それでも小春がいちばん好きなのは、やはり朝の光の中で見る航なのだ。 きらきらと輝く茶色の髪と、綺麗な宝石のような瞳。全てが整った場所にある端正な顔。 昨日の夜は小春が鍋を食べつつ眠ってしまって、夜中に目を覚ました時は、航に抱き込まれて眠ってしまった。 けれど、今こうして目が覚めた朝は?! 航は完全に目が覚めているように見える。 完璧なる王子様だ。
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