父親のDNA

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父親のDNA

俺はどうやら、人より格好良いらしい。 「い、一ノ瀬くん…!」 呼ばれて振り返ると、知らない女子。校章の色からするに、多分同学年。 「れ、連絡先、教えて下さい…!」 また、だ。これでちょうど10人目。入学して、まだ3日も経たないのに。 「彼女居るけど良い?」 そう言うと、彼女は「大丈夫です」と頬を染めてスマホを取り出した。 自覚し始めたのは、小学校の時。小さい頃からバレンタインにチョコレートを山ほど貰っていたから、その事を何となく友達に話したら、「俺は貰ったことがない」と言われた。 中学に上がると、夏休み前日に、人生初の告白ラッシュを体験した。放課後の校舎裏、下駄箱のラブレター、それからスマホのメッセージ。一通りは経験したと思う。 そのラッシュは長期休暇の前や、学校のイベントの度にやって来て。時間を取られてウンザリするくらいだった。 だけど俺だって思春期の男だし、彼女くらい欲しくなる。だからその中から人気のある子を適当に選んで、なんとなく付き合って。今は卒業式に告白してくれた、いわゆる学年のマドンナと付き合っている。ちなみに彼女は隣の高校だ。 そんな訳で、昔から何となくモテているんだけど。俺がこんな風になっている原因は、どうやら父親のDNAにあるらしい。
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