プロローグ

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これは一種の魔法だと思う。 小学生から中学生へ、そして中学生から高校生へと変わる時は、一段づつゆっくりと階段を登るような感覚だった。 その階段を一段づつ登る度、同じクラスでまだ子供だと思っていたクラスメート達が、何故か少し遠い存在に感じてしまう。 小学生の時は私服に名札を付けてランドセルを背負っていたのに、中学生になると皆お揃いの制服を着て肩から通学鞄を下げるようになる。 人物は変わっていないのに、見ている景色が、雰囲気が、環境が、何もかもが違って見えた。 まるでパラレルワールドに迷い込んだかのように、誰かに魔法を掛けられたかのようにー。 そして今年の春、私達は高校生になった。 義務教育だった中学生までとは違い、高校生にもなると知ってる顔は大分減り、知らない顔が殆どだった。 若干人見知りだった私は、この中で仲良しを見付けられるだろうか、新しい友達は出来るだろうかという不安感にも駆られながら、また別の発見もあった。 子供の頃はあんなにも大人だと憧れていた高校生も、いざ自分がなってみると、そんなに変わっていない自分自身に嫌気がさす。 まだ名前も知らない同級生達はこんなにも大人っぽいと感じるのに、私だけが子供の頃から何も変わっていなくて、まるで世界が、私だけを残して回っているかのようにさえ思えた。
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