君子は豹変す?

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「ははっ、やだなー白鳥さん。そんなにムキになんないでよ、冗談じゃん」 「冗談でもやめてください」 「白鳥ちゃんの言う通り、昨日は真っ直ぐ帰りました。彼女がメガネを壊しちゃったから急遽家まで送ったけど、そのあとも何もなかった、だよね? 白鳥さん」 詳しく付け足してくれた三井さんに、コクコクと力強く頷く。なんだ、意外と気が利くじゃないか、三井さん。私のモヤモヤを全部吹っ飛ばしてくれたし、誤解も解いてくれた。ナイスです! だけどホッとしているのも束の間、三井さんの次の言葉で、感謝した自分が大馬鹿だったと知った。 「コンタクトにして綺麗になったし、その調子で好きな人に振り向いてもらえるよう、頑張ってね、白鳥ちゃん!」 ……ん? サラッとすごいこと言いませんでした?好きな人って……えぇっ!? なんでこのタイミングでそんなことを言うんだと、一人顔面蒼白になっていると、それに反応した臣がまるで大根役者のような棒読みで「へぇ、白鳥さん、好きな人いるんだ」と言った。 「いや、その、それは……」 どうしよう。まさかバラされるなんて。しかも三井さんは自分だと思って言っているんだろう。とんだ勘違いだと言ってやりたい。だけどここで否定したら、またややこしくなる。 あーまずい、非常にまずい。絶対あとで好きなやつって誰だって聞かれるに決まっている。 どうしよう、どうしよう、どうしよー!!
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