フェイク×トラップ

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それから長蛇の列に並ぶこと三十分。 このたこ焼き屋は人気の店らしく、買うのに結構時間が掛かってしまった。ま、いい時間潰しになったから良しとしよう。 途中まで一緒に並んでいた三宮は疲れただの早く食べたいだのピーピーうるさいから店の前にあるベンチに座らせておいた。まったく我儘な女だと思う。 さっさとこれ食って帰ろう。 そう心に誓いながら出来立てのたこ焼きを運んでいると、ベンチに座る三宮の隣に見知らぬ男が腰掛けているのが見えた。 男の推定年齢は20歳。派手な髪色をして耳や首にはアクセサリーをジャラジャラぶら下げている所謂チャラ男だ。 …は?誰だよアイツ。 「ねーねー。キミ、めちゃくちゃ可愛いじゃん」 「……」 「一人?俺と遊ぼーよ」 ああ、ナンパか。どおりでチャラチャラした外見なわけだ。 それにしても三宮の奴、本当は強気な性格のくせにこういう時ガツンと言えないのな。
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