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episode247 アッチェレランド
ラグに広がる鳶色の巻き毛は
キャンドルの灯りを受けて後光のように広がった。
「薫お兄様……大丈夫?」
薫は髪と揃いの色した目を開く。
ぼんやりと子供のようにつぶらで
ますます目が離せなくなる。
「何をしてる……?」
いまだ現状を把握できていないのだろう。
身体だけ魂から切り離されたように聞く。
「ルカの言うことを聞いてる。でないと僕ら……」
僕は熱く滾った薫の花芯を撫で上げながら
そっとルカを振り返った。
ルカは手にしたスタンガンを翳して見せた。
「ちくしょう……」
言うものの。
薫はラグから起き上がる素振りさえ見せなかった。
その代わり――。
「ン……」
見間違いでなく
細い腰がかすかに浮いて動いた。
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