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「つまり、俺たちは誰かに感謝の気持ちを伝えるために、集められたっていうことか」
莉生の言葉に、全員が我に返る。
「読者やファンの方?」
美愛が莉生を見上げると、首を傾げつつも頷いた莉生が、癖で美愛の髪を撫でる。
「僕たちが、多くの人に感謝を伝えられるなら、それは幸せなことだね」
「でも、怜司さん。どうやって知らない人に伝えるんですか?」
「そうだね。言葉だけで伝えるのは難しいね。だから、その人はこうして手間をかけたのかもしれないね」
メンバーがお互いの顔を眺め合っていると、郁がニコニコと笑いながら口を開いた。
「作家ってね、読者さんの反応は結構分からないものなんだ。だから、楽しんでもらえているか、満足してもらえたか、って日々不安を抱えているんだよ。それに、意外と感謝の気持ちを伝えたい人に伝える手段もないんだよね。きっと、たくさん考えたんだね。伝える方法を」
郁の言葉に、何人かがへぇっと声を出す。
「じゃあ、私たちも感謝しないとね。その方たちがいて、私たちがあるのよね」
栞奈の言葉に、全員が頷いた。
「いつも温かい目で見守ってくださって、ありがとうございます! これからも、私たちを、そして作者をよろしくお願い致します。どうか、皆さまの日常に、ささやかな楽しみを齎せますように!」
「僕たちのお話も、覗きに来てねー」
「郁!」
「三人で同居してるからねー。本当は稜介、いらないのに……」
「誰が萌々子ちゃんを守るんだ」
「僕ー」
「郁から、守りたいんだよ……」
「またねー。僕たちは美味しいものを食べようね。パーティー、スタート!」
こうして、マイペースな郁が締まるに締まらない挨拶をして、パーティーがスタートした。
*終*
『月の光の中で』……逢坂蓮&如月桜香
『棘』……成瀬拓人&柊栞奈
『innocent timbre』……黒崎怜司&藤原琴音
『call me ―茜色の約束―』……椎名莉生&橘美愛
『光の海に とけてなくなりたい』……奏&高杉光里
『言葉を編む ひつじ』……宝生萌々子&鏑木郁&天沢陵介
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