22章 これがTV局

2/36
66人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
「おい、晶! 仕事入ったぞ」 「………」 喫茶店で昼食後の休憩時── 震える電話を手に取ると健兄は唐突にそう言った。 「仕事って…もうしないよ。夏希ちゃんが煩いから」 断りながら、ちょっと口惜しい気もするけどしょうがない。 溜め息を吐きながら断るあたしを何故か健兄は笑い飛ばしていた。 「まあ、そう言わず、聖夜のことはこっちで何とかするから頼まれてくれ。今回もお前をご指名だから舞花に頼むわけにもいかん」 今回も? あたしは健兄の言い回しにふと耳を止めた。 今回もってことはまたマリオか…… ピンときてあたしは尚更健兄に意見する。 「マリオからの仕事は一切断ってって言われてるから」 「誰がマリオだって言った?」 「え? 違った?」 あらやだ、勘違いが知れて何だか恥ずかしい。 そう思う矢先、電話の向こうで健兄はふっと笑う。 「まあ、あながちハズレてはいないがな」 「ハズレてはいない?」 「ああ、今度の仕事は前にストッキングのCMを受けただろ? あれだ」 ストッキング… そう言われてみればそんな仕事をしたな?…
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!