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第2章 #2
――シャワーを浴びるとようやく我に返った気がした。
『私、長谷川社長にも抱かれてしまった……』
サ――ッと血の気が引くのが分かる。
でも、開き直りの思いすら湧いてくるような気がした。
ここまで来たら、あとはなる様になれで、連休中にしっかりと切り替えてしまおう。
シャワーから上がると、急に睡魔が襲ってきて、吸い込まれる様ベッドに倒れ込んだ。
どれだけ眠ったんだろう……。
机の上の時計を見ると、朝の10時を回っていた。
少し気だるい身体を引きずり冷蔵庫を開ける。
ミネラルウォーターをがぶ飲みした後「布団干そう」と呟く。
シーツや枕カバーも全部洗濯して、スッキリしたい気分だった。
掃除を済ませやっと落ち着くと、正直なもので次は小腹が空いてくる。
1人分作るのって面倒だし、ダラッとしたい気分だと「パンでも買いに行こうかな……」と即決まってしまう。
お昼前なので、総菜パンが出る時間帯だ。
近くのパン屋は前に味見したし、期待が出来る。
メークはしてるので、着替えをして少し歩いて、ついでにコンビニに寄って、適当に何か見繕って帰ろう。
昼間はまだ日差しも強いので、日傘を差して歩いた。
店内に入ると既に焼き立てを狙って、何人かウロウロしている。
私もワクワクしながら、ゆっくりと品定めを始めた。
お腹が空いていると、特にどれも美味しそうに見える。
「チーズベーコン焼き立てで――す!」
誘われる様にトレイに乗せる。
明太子フランスと、栗のデニッシュを追加で乗せると、満足そうにレジに並んだ。
――帰ったらすぐに食べよう。
店を出てコンビニ方面に足早に歩いていると、駐車場で渡瀬さんの姿が見えた。
目が合うと、嬉しそうに手を振ってくれている。
爽やか過ぎて眩しい位だが、気持ちの整理がついてない複雑な私は、苦笑いしながら近づいて行った。
「桜ちゃん、いいのあった?」
「ええ。お昼前なんで、焼き立ての総菜パンが色々ありました」
「ホント?!ちょっと買ってくるから待ってて」
「いえ、あの。私ちょっとコンビニ行きたいので……」と続けたかったが、言い終わる前にお店に向かって渡瀬さんはダッシュしていた。
布団も干してるし、今は一人で居たいと思ったが、一生懸命走る姿を見ると、何となく日傘を差し黙って俯いていた。
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