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第1章
アパレルのショップ店員から本社勤務になって半年が経過していた。
服が好きでこの業界に入ったが、徐々に物作りに興味を持ち始め、自分で志願してこの異動を叶えて貰えたのだ。
売り上げは取れていたし、店長経験も経て希望する人事が決まり、仕事が楽しくて仕方がない。
先輩方もみんな親切で、仕事も回してくれるのでやりがいもある。
短い期間ではあるがようやく慣れ始めていた。
オフィスは大きなビルだけど、ミーティングがよくあるので色んな部署の人と関わりが持てる。
この時間は凄く勉強になるし、楽しみにしている。
みんなオシャレで、目にいい刺激にもなっていた。
最近、休憩時間に噂話を耳にする機会が多い。
こんないい社風なのに、社長は結構怖いらしい――という話。
写真で見るとイケ面だったし、共同経営なので2人いるが、どちらも甲乙つけがたいレベルの高さ。
社内でも憧れのマトらしいのだが、その部屋での勤務は、絶対に嫌だと囁かれている。
選ばれる人はスタイルが良くて、美人が多かったが社長に怒られてみんな辞めて行くらしい。
資料を投げつけられたり、怒鳴られたり……等多々耳にする。
妥協を許さないタイプで、自分にも他人にも厳しいらしい。
レディースの洋服を扱っているのに、そんなに女性に厳しくていいのだろうか……と不思議に思うが、少しでも情報を集めておくと、地雷を踏まずにすみそう!
『社長は怖いので要注意』と頭に刻んでおいた。
前回の企画で売り上げを伸ばし、実績を上げた私は次の仕事もワクワクしていた。
雑用をするのも好きだし、今は仕事の為に色んな背景を知っておきたい。
みんなが面倒だと思う仕事も進んで引き受けているし、期限に遅れるのは嫌なので、残業もたまにしている。
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