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「櫻本先輩。これが1年3組で起きた釘バット事件の大まかな書類です」
「んー。さんきゅー」
ここは不良高校として有名な柚川高校。
釘バット事件──。
普通に考えたらありえない事件だが、柚川高校なら日常茶飯事だ。
そして、その非日常的な事件を取り仕切るのが、生徒会でもなんでもない風紀委員である。
ちなみに、柚川高校には生徒会はなく、実質生徒内で実権を握っているのも風紀委員なのだ。
つい先日、俺の権限で副風紀委員長を襲名した拳生から書類を受け取る。
スカ。
「え?」
別の書類を読みながら書類を受け取ろうとしたからか、空ぶる。
いや。
拳生が意図的に書類を俺の手から避けた。
「拳生?」
なんで書類くれねぇーの?
拳生は少し怒った顔をして、俺の手からシャーペンを奪った。
?
目の縁を沿うように右手の親指でなぞられる。
「目の下にクマできてますよー。………家にも書類を持ち帰ってるんですか」
ギクリ。
体が自然とビクリと震える。
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