バーコード刑事 2

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オッサンの作った朝食は、母親の作った味付けに近く、美味しかった。 こんな料理が毎日食べられたら、どんなにいいだろう。 理想的な脚を持ち、料理が上手なオッサンと、もし、一緒に暮らしていたら…… 仕事で疲れて帰った夜、レースのエプロンをひらめかせ、美しい脚を惜しげもなく披露しながら、俺を笑顔で出迎えるオッサン。 食卓には、あたたかい料理が並んでいる。 そして、ふたりで食卓を囲み、熱い料理には、オッサンが息を吹きかけ、俺の口元に…… 「ああ!!」 ドンと拳でテーブルを叩く。 正気に戻った俺の向いには、なぜか一緒に朝食を食べているオッサン。 口ひげにはご飯粒がついている。 とってあげるべきなのか。 いや、そんなことしたら、まるで恋人同士じゃないか。 見て見ぬフリをしながら、俺はオッサンの焼いてくれた鮭を口に運んだ。 「お口に合いますでしょうか」 不安げにオッサンが俺に尋ねた。 「ああ、上手いよ。俺の母親の味付けに似てるし」 オッサンの口ひげについていたご飯粒は、今度は頬に移動している。 「お母様はお元気なのですか?」 「まぁね。最近会ってないけど」 オッサンの頬についていたご飯粒は、今度は、額に移動している。 どうして、そんなに、移動するんだ、ご飯粒。 気が散って仕方ない。 「お父様は?」 「……さぁね」 父親は、警察官だった。 だが、俺が高校生の時、突然失踪してしまったのだ。 オッサンの額についていたご飯粒は、いつの間にか消えていた。 まるで父のように。
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