あま~い、ショコラを召し上がれ

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 彼と出会ったのは桜散る春。  その後ひょんなことから再会して、その日のうちにメアド交換。  夏前には週一で飯を食べに行くようになり、秋に告白。そして付き合うようになった。  元々僕自身、ゲイってわけじゃなくて、前に付き合ってたのも女性だし。と言っても高校時代と、かなり昔だってのは内緒だ。僕にも見栄ってものはある。  彼の交際関係はよく知らないけど、顔もスタイルもいいからモテてたのは確かだろう。名前も藤伊万里とか、どこかの芸能人みたいだし、一緒に街を歩いてても、よく女性からの視線を感じる。自分へのじゃないのかなんて、おこがましすぎることは思わない。むしろ彼に関して言えば、なんで僕と付き合おうって思ったのか、さっぱりわからないんだよね。  顔もフツメン。自分で言うのもなんだけど、茶髪のくるくる天然パーマで黒縁ダサメガネ。IT関係に勤めていると言えばカッコいいかもしれないけど、SEなんて地味な仕事だ。周りはオタクばっかだし。  告白も彼の方から。僕のどこがよかったのか、理由はさっぱりだけど、イケメンだから毛色が違ったところがよかったのかなぁ。見慣れなくて新鮮だったとか。伊万里によく言われるんだよね、和泉は 面白いとか見てて飽きないとか。  でも、それって褒め言葉なの? 動物園の珍獣じゃないんだからね。その辺僕にはわからないけど、たまに彼の長めの前髪をむしりたくなるよ。引っこ抜いて、足でげしげししてやろうかな。  以上、僕、和泉雅之の告白でした。
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