第3章 オーロラの下でやっちゃいました

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 出発の一時間前には駅に行ったけど、まだ車両はなかった。あと半時間で来るらしいけど。  同じツアーの夫婦もそこら辺で待機していた。初日だけしか面倒見てくれない添乗員は、空港にいるんだよな、確か。  そんなに難易度高くもない旅だったな。大体、日本にいるときに手配していたから、工程通りに行動すれば添乗員がいなくても普通っていうか。  英語の出番も思ったほど無かった。ここは日本人びいきな国らしい。またいつか、年取ってから来るもの良いかもしれない。  夏鈴の顔色が白い。貧血か。 「大丈夫? 気分悪いの?」 「…うん。なんとなく、怠いかな」  夏鈴は俺が知る限り、案外疲れると熱を出すんだよな。  彼女を抱き寄せて、俺の肩で眠らせてあげた。  こりゃ、今夜は抱けないか。って、俺は野獣か…。  見てすぐわかる寝台車がホームに入ってきた。  案内が始まるまではしばらく見ているだけ。予定の時間が過ぎそうなタイミングでやっとアナウンスがなる。夏鈴を揺り起こして荷物を引っ張っていく。自分達の車両前まで行って、ここで写真を一枚だけ自撮りツーショットでパシャリ。
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