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体育祭とは、とても残酷なものだった。
「くそぅ・・・。何で借り物と一緒にゴールしないと失格になるんだよ・・・。俺ただ黒歴史作るために出たようなものじゃん!?」
「いや当たり前でしょー。だって借り物競争だよー?借り物なしでゴールするなんてただの競争じゃん。」
「う、ぐっ。」
葵の正論が俺のガラスハートを見事に打ち砕く。
もう俺ヒキニートになりたい・・・。
赤ジャージのくっそ頭いいイケメンニートになりたいよママー!!
ちなみに俺は圧倒的嘘吐き少年推しである。
マジで夜咄全人類聞いて?
曲調といい歌詞といいPVといい最高ですから。
俺が二次元へと思考を飛ばしていれば・・・。
「ユ・キ?置いていくなんて酷くない?」
グラウンドに置いてきたはずの王子様ボイスが聞こえてきた。
今の俺に王子様ボイスは毒なので慌てて耳を塞ぐ。
後から説教されようが何されようが関係ない。
心の準備出来てないのでお願いだから近寄らないでください。
そんな思いが通じたのか、千歳は1つため息を溢した後、俺の頭をそっと撫でてから観客席に戻っていった。
「うっわぁ・・・。行動から滲み出る王子様オーラ。」
「やめてください何も言わないで。」
「・・・雪兎、もしかして。」
「アーモウソロソロショウシュウカカルナー。」
「誤魔化し方下手すぎない?」
「葵さん?俺が傷付かないとでも思ってます?」
「冗談だよー。・・・ま、頑張ってね?」
何だろう。
葵さんに完全にバレた気がしてならないんだけど、気のせいだよね?
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