お返し

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「はいこれ!」 これは学校からの帰り道の事だった。 クラスで好きな女の子から渡されるプレゼント...。 今日は僕の誕生日。だけど誰にもその事は伝えていなかった。誕生日を教える=プレゼントが欲しいとか祝って欲しいとか思われるのではないかと考えついたから。 だから自分が誰かの誕生日にプレゼントを送った事はあっても送られたことは家族以外初めてだった。 「あ、ありがとう」 はにかみながらその子から包装それた袋を受け取る。 「良かった...今年は渡せて。 いつも私にくれるのに私は君にあげられてなかったから。」 その言葉に嬉しいという感情は少し薄れる。別にお返しが欲しくてあげてた訳ではないのに。 「...そういえば何で今日だって分かったの僕の誕生日?誰にも教えてなかったのに」 聞くと君は得意気にフフンと鼻で笑って見せた。 「結構考えたんだよ?君の誕生日はいつなんだろう...って。周りの子にそれとなく聞いてみたり、君の物から導き出せないかって。 でも、駄目だった。君本当に誰にも教えてなかったんだね。」 「まぁね」 僕が答えると君は更に笑った。 何故笑ったのか僕には分からなかったけれど。 「合ってて良かった!」 「え、何が?」 「私ね。誕生日おめでとうなんて言ってないよ。へ~今日だったんだ」 しまった...。まさかかまをかけて来たとは思わずつい答えてしまった。 恥ずかしながら手で顔を隠す。 「な、何で今日かと思ったの?」 きっと君も適当な理由でこの日にプレゼントを渡した訳では無いだろう。 逆にそれが当たったのなると凄い確率になる。 「んー?理由はね。 6年前の初めて君と挨拶をした日だからかな?」 6年前...。 あぁそうか...確かにそうだ。 6年前。まだ僕達が小学生だった頃。 僕は今日初めて声をかけたんだ 「おはよう」って。 その一言だけでも凄い緊張した。好きで話したかったけど勇気がでなくて話かけられなくてずっともやもやしていた。 僕がそう声をかけると君は笑みを浮かべながら「おはよう」って返してくれた。 きっとその日から僕は本気で君に恋をしたんだと思う。 話せる仲になって毎日が楽しくて堪らなくなった。 君からしたら僕は友達の中の一人だったかもしれない... でも僕からしたら君はかけがえのないたった一人の大切な人だった。 「よく覚えてたね...今日って。」 「うん。私にとって印象に残った日だからね」
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