恋と教師と密かな独占欲

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放課後。 廊下を歩きながら長い溜息。 言っておくが、職員室から自分のプライベートゾーン(?)である英語科準備室が遠すぎて、しんどさを感じているからではない。 季節は夏へと向かってラストスパートの頃。 気温も湿度も上昇中。ついでに言うなら、職員室の緊迫度も上昇中。 期末考査一週間前の学校は、生徒と教師の温度差が一番開く時であろう。 (……あの空間、息が詰まるというか何と言うか……) つまり俺は、歩く距離ではなく、職員室の空気にしんどさを感じたのだ。 臨時教師はあくまで臨時。いずれは此処を去る人間。 そんな意識が強めな俺は、テストにおけるやる気度はどちらかと言えば、生徒寄りだ。 早く来い来い、夏休み。 (――うむ。限りなく学生並みだな。……まぁ色々と) 「智弘~野球しねぇ? A組とクラス対抗戦なんだけどメンツ足んねぇんだよ」 「おー行く! と言いたいところだが。お前らテスト前だろ? 勉強しろよ、勉強。っつーか、名前で呼ぶな」 途中引き留められ、二人の男子生徒と立ち話を。 ピリピリしてる教師どもと違い、彼らの意識はすでに試験後の休みへフライングし浮足立っている。  
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