尻治の始まり

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尻治の始まり

食事をすると気持ち悪くなり吐き気がするからとご飯を少ししか食べなくなった旦那。 お茶碗は小鉢へと変わり、盛るお米の量は仏前にお供えする程度。 胃薬を飲み胸焼けを緩和する為にリンゴを食べ始め、終いには三食リンゴに変わる。 「病院で診てもらいなよ」 家族に何度言われても病院嫌いな旦那は平気と言うだけで… 勿論食べない分、どんどん痩せていった。 食べないのだから当然と言えば当然で、ダイエットでもしているのん気な旦那は痩せた事を喜んでいた。 それでもリンゴにそこまでのカロリーがあるはずも無く、呆気ないほど体力が落ちた旦那には長時間立ち続ける事が出来なくなる。 唯一の救いは会社員では無く自営業だった事。 眩暈に襲われ一日に二時間も立っていられず直ぐに奥に引っ込んでしまうが、心配する家族はそれを咎める事は出来なかった。
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