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スーパーで思った以上に買ってしまった。これでも必要最低限だ。
お米、人参、じゃがいも、玉ねぎ・・・。
お米は律君が抱え、私の持つエコバックにも野菜たちがパンパンに入っている。二人並んでスーパーからの帰り道歩いていると律君が急に笑い出した。
「唯って、思ったこと結構言う方?」
スーパーでの出来事を思い返し、私は思わず顔が赤くなるのを感じた。
「だ、だって、律君が・・・」
「俺が?」
からかいを込めた目でこちらを見てくる律君にそっぽを向く。
「そんな不健康な生活するから!好きな人じゃなかったら私だって、言わないよ!好きな人だから健康に気を付けてほしいし、それに・・・私が作った料理食べてもらいたい。」
少し欲張って言ってしまった。でもこれが私の正直な心。いつかできるかもしれない未来の好きな人のために頑張って今まで料理を覚えてきたんだ。何を作ろう、そう考えていると律君のほうに体が急に寄せられた。
「わ!!」
そのまま片方の手でぎゅっと抱きしめられる。片方の手には10キロ米が抱えられてるのにそんなの苦じゃないという顔をしている。律君はひょろっとしているのにこういう場面見ると男の人だなと意識してしまう。してしまったら、律君の服の匂いとか体温とかいろいろ気にしてしまってさらにドキドキする。
「ドキドキしてる・・・かわいいなあ。」
なんだか律君ばっかり余裕でムカつく。律君だって同じ気持ちになればいいのに!私は自分から恐る恐る律君の背中をぎゅっとしてみた。
「!」
律君は顔を赤らめて視線を泳がせている。すごくすごく恥ずかしい。でも律君と同じ気持ちになれるのが嬉しい。だからぎゅっとしてよかった・・・かも。
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