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そんな事を考えていると、見慣れた分厚い眼鏡の横顔が俺の横をサッと通り過ぎていく。揺れる後ろ髪に『ほらみろ、時間ぴったりじゃねえか。コソコソ逃げてんじゃねえよ。』そう心の中で文句を言いながら、病気ではなかったことにホッとする。
どんだけアイツに無視されたって振り回されたって、残りは一年しかないんだからオレものんびりはしてられない。
「チーカー、無視しないでー。」
学ランを引っ張られて、まだケンがココに座っていることに気付く。
……まだ回収係来てなかったのか?
仕方なく引っ張って起こす。ケンの学ランをはたいて砂を落とす。オレもコイツに大概甘いのかもしれない。
「チカが優しい~、珍しい~。」
チッ!やっぱり捨てとけばよかった。
「ほら、もう行くぞ。」
喜ぶケンを無視してさっさと歩きだす。別に遅刻してもオレは気にしないんだけど授業はなるべく受けるようにしている。
アイツの気が変わってまた志望校を変えてくれるかもしんねえから。
……まあ、無さそうだけど。
とりあえず少しでも話が出来ないだろうか。夜に突撃するしかねえな、隣同士はこんな時便利だ。
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