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②視察
為信は、安東愛季に北畠顕村を説得してもらいたいとの書状を送った。返信を読むと、領内を視察すると言って沼田面松斎に大浦城の留守居を任せ、堀越城・石川城・三ツ目内城に先触れを出す。
為信は、金信就他20騎の身辺警護を引き連れて大浦城を出発。堀越城・石川城を視察した後、三ツ目内城に到着。多田玄蕃の若衆に安東領内の様子を探らせる。
翌日、三ツ目内城を出発して津軽と出羽の国の境に近い国上寺へ向かう。国上寺は津軽三不動の一つに数えられる歴史ある寺。門前は、それなりに賑わう。
寺付近をぐるっと回って異常がないか確かめると10騎を街道の見張りに置いて、自らは残り10騎と馬駐めに向かう。いざという時は逃げる。その準備。
本堂は街道から少し登った所だが、馬駐め近くの塔頭を借りて、そこで待つ。
見張り「10騎の侍がこちらに向かって来ております。」
為信は馬駐めまで出迎える。来た。安東愛季だ。鋭い視線。惚れ惚れするほどの流し目。
為信「大浦為信にございます。」
愛季「安東愛季である。お待たせしましたかな?」
低めの落ち着いた声。
為信「そこの塔頭を用意致しました。内外お調べ下さい。」
愛季「ご配慮、痛み入る。」
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