後輩と先輩

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──先輩は変わらず飄々としたまま、卒業していった。 あれから1ヶ月。 先輩のいなくなった部室に『帰る』。 よく二人で廃部にならなかったもんだと独りごちる。 さすがに一人になり、廃部が決定した。 使う部活もないから、通い慣れたこの場所に来ても気が付かれない。 一人、思い出に浸る。 今でも思い出す、先輩との他愛ないスキンシップの日々。 おかしいとは分かっていたけど、それでも忘れられなくて。 夕暮れ時、通い慣れた道を一人帰る。 .☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:* ──トュルルル…… 暗い部屋に響く着信音。 無意識に通話ボタンを押す。 『よお! 元気にしてたかあ? 俺がいなくて淋しかったんじゃない? 』 聞きたかった声が響く。 夢か、夢だなとまた寝ようとする。 『おまえのことだから寝惚けてるんだろ。ちょっとくらい起きろよ、相手しろよ』 嗚呼、夢であって欲しかった。 こういう人だと分かっていたはずだった。 「……今、何時だと思ってるんですか」 『ん? ……二時だな。それがどうした? 忙しくてさー。やっぱおまえと話してるのが一番癒されるわー』 いけしゃあしゃあと。 「……もう!俺はまだ高校生なんですよ?! 寝不足になって遅刻したらどうしてくれるんですか! 」 モヤモヤしたものを吹き飛ばすかのように叫ぶ。 『……俺さ、気がついたんだよ。この1ヶ月でさ。新しい仲間とワイワイしてんのもいいけど、やっぱおまえのこと思い出しちゃってさ。おまえといるのが一番好きなんだなって』 ……振り払わせてはくれなかった。 「どんな思いで俺がいたと思ってるんですか! 」 『ごめんな、やっぱ諦めきれないわ。嫌でも付き合ってくれよ。おまえが好きだから』 「!? 」 本気にしちゃいけなかったのに、この人は俺を離してはくれないらしい。 「……ズルいですよ、バカ」 『へへ! これから毎日掛けるなー? お前の声聞きたいし』 ……前言撤回。 「アホですか! 俺の睡眠時間削ってメンタル抉るのやめてください! 」 甘酸っぱいような日々は訪れないらしい。 それでも俺は──この人が好きだから。 Fin
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