第1章

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「隣良い?」 ベンチに座っている私に誰かが声をかけてくる人が居た。 私は良いとも悪いとも言わず頷いた。 声からしてそれが誰なのか分かったからだ。 「...」 彼は何も言わない。そして何も聞かないでくれた。彼はきっと知っている。私が何故落ち込んでいるのかを。 君は優しいんだね。 私は口にはせずそう思った。 どれくらい時間が経ったのだろう? 夕暮れ頃で明るかった空には星が暗い空を彩っていた。 「帰ろう?」 ずっと隣に居た彼はそう言って立ち上がった。 「お腹空いたしマックいこうぜ。」 何時間ぶりの彼の明るい声に私は何故こんなにも落ち込んでいたのか分からなくなってしまった。 自分で自分が馬鹿らしくなって不意に笑みが溢れて私も立ち上がり彼の隣に立った。 「私もお腹空いた!」 彼は何も解決しなくても私を元気づけてくれた。 「ありがとう」 歩きながら小さな声でそう言った。 彼はその声に反応せず少しだけ微笑んだような気がした。
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