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『ぐっ…き、貴様ら…!』
「!」
すると、倒れていた狼達は次々とふらつきながら立ち上がる。
響達は、再び恐怖を実感したのか身を固まらせた。
あの轟音をまともに受けたのに、立ち上がれるのか。
恐怖と同時に驚いた感情が募った。
『何をしたかは知らねえが…このまま生きて返すわけにはいかねえ!』
『ひいっ!』
『こ、こいつらさっきより相当怒ってるぞ!』
ウサギ達は、藍色の狼の鋭い眼光に怯え響の足元にしがみつく。
他の狼達も、響達を睨みつけている。
今度こそ、奴らに捕らわれたら命はないだろう。
響は、あることを決断し、足元にいるウサギ達の目線に合わせるようにしゃがみ込んだ。
「おい、ケルベロスもどきの三匹。」
『誰がケルベロスもどきだ!?』
『俺達は、正真正銘のケルベロスだぞ!』
『そうだそうだ~!』
響の呼び方に、ウサギ達は不満をぶつける。
しかし、彼は三匹に「しーっ」と自分の唇の前に人差し指を立てた。
「いいか、よく聞いてくれ。俺が奴らを引き付ける。その間に、お前たちはこの森の奥に全力で走って逃げろ。」
『なっ!?』
響の提案に、ウサギ達は驚いた顔をした。
『に、人間!何を言っているんだ!?そしたら、お前が捕まって食われてしまうでないか!』
『兄者の言う通り!何故、そこまでして俺達を逃がそうとするんだ?』
『僕も知りたーい!』
納得がいかない三匹は、彼に問い詰める。
まだ知り合って間もないのに、どうしてこんな提案をしたのか。
疑問がぶつかる中、響はゆっくり立ち上がりウサギ達に背を向けた。
「これは、俺の勝手な理由だけど…」
殺意をむき出しにする狼達に注目されるように、右手を上げた瞬間彼は口を開く。
「小さい動物が食われるところを、見たくないだけだよ。」
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