強張る

会議室の中は春の日が差してほんのりと暖かい。
ビルの隙間に青空が小さく見える。
どうか悪い話ではありませんようにと祈りながら佐原さんに視線を向けた。

テーブルに両手をついたまま下を向いて何も言わない彼。
話し始めてくれるのを暫く待ったけれど、そんな様子も見られない。
ただカッチカッチと秒針を刻む音だけが室内に響く。

とうとうしびれを切らして私の方から口を開いた。
「あの、話ってな……」
その私の言葉をぶった切る。
「なあ、俺ってさあ、山口にセクハラしてる？」
「え？」
意表を突かれた質問に思わず聞き返す。

「だからあ。俺ってさあ、山口にセクハラしてるかって」
彼の声に苛立ちが混じる。
「何ですか？突然」
今更何をと眉根が寄る。