第10章 I Feel for You(心中お察しします)

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「よぅ、おはよう。よく眠れたか?」 「あ、あぁ、まぁな(大ウソ)」 「ハムエッグでいいよな? トーストは何枚? コーヒーはブラックでいいんだっけ?」  まるで同棲しはじめか新婚カップルのようだ。秋的には、本来ならば悦びむせぶ会話だろう。なのにどうにも……うら恥ずかしい。きまりが悪い。何だっていうんだ、これは!  そんな秋の心境なぞつゆ知らず、淡々と準備をする柊一の手際には、尊さを通り越して神々しさまで感じる(大げさ)。 「ちゃんと朝メシ食う派だったんだ、先生」 「あ? ったりめーだ! 朝メシをちゃんと摂ることによって脳は目覚めるんだぞ? 基本だろーが!?」 「や、そういうことじゃなくて。好きな人の知らなかったことを知れる嬉しさ的な――」  言ってから気づく、掛け値なしの胸のときめきに、もう身悶えするしかない。こういう時に限って転嫁できる堕天使どももいないときてる。いと恥ずかし////  だが柊一は、ひとり顔芸をする秋に嘆息し、こう諭す。 「おい、何でおまえが昨日出先で被ったゴタゴタより、初めて致した翌朝みてぇなヘンな空気醸し出してんだ!? まだやってねーだろーが!」 『//////// キャ(ハ*))((*ノノ)キャ………………ん? 昨日出先で被ったゴタゴタ!? 何でそれ知ってんだ、この人……』
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