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他人から見たら瑣末なことでも、心が傷ついたり、頭に血がのぼることはたくさんある。
人間は感情の動物だ。その感情と向き合うとき、一人がいいのかそれとも誰かと分かち合えたほうがいいのかは、時と場合による。
個々人抱えているあれやそれは、分かち合えば解決するというものでもなく、かと言って一人で抱え込むのも、問題をさらに深刻化させてしまう危険性をはらんでいる。
『……じつにやっかいな生き物だよな、人間て』
秋がしみじみそう想うのは、先日体験した望まない相手との遭遇と、そのことで乱された自身の感情と行動に由来する。しかし、それだけに当てはまるものでは当然ない。もっと普遍的な意味を持っている。
自分自身、手酷い裏切りを経験した。若かったからダメージも大きかった。しばらく引きこもり生活を続けた。家族はあたたかく見守ってくれたが、焦燥にさいなまれた時期もあった。再起できずにそのまま終わる人間だっている。その意味では、ラッキーだったと言えるかもしれない。
訳のわからない神遣いに導かれ、キーマンと再会を果たした。その柊一もまた、心に痛みを抱えていた。
『人生何が起こるか分からんもんだ……――我ながらジジむせぇな、俺 ^^;』
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