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「杏南」
「うん?」
「どうやら、母さんの隣は俺たちの場所じゃなかったみたいだな」
「……うん」
認めたくない。
あんな父が母の隣に居座るなんて。
それでも、あの日見た光景が脳裏を過る度に、私は認めてしまいそうになる。
もしかしたら初めからずっと、母の隣は父のものだったんじゃないだろうか。
並んで歩く両親の後ろ姿に違和感は全くない。
母の隣は、父の場所だったのだ。
*終*
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