隣にいる

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隣にいる

 ある休日の昼下がり。  私のスマートフォンがメッセージの着信を告げた。  彼氏と歩いていたでしょ。見たわよ。  大して親しくも無い会社の同僚からだった。  そのメッセージを見た途端、嫌な汗が滲むのを感じた。  何の見間違いか知らないが、酷い見間違いもあったものだ。  彼氏なんてしばらくいないよ、と返事をする。  今のところはお友達って事?    すぐにそんな返事がきた。  何の話をしているのだろう。  男性と外出など、この半年していない。  その通りに返事をすると、またすぐに返事が来た。  嘘よ。  先週の日曜日、繁華街を歩いていたでしょう。  あなたの隣で、親し気に話しかけている男性を見たわよ。  確かに日曜日は繁華街にいた。  でも一人で、だ。  誓って隣に男なんていなかった。  彼氏なんて今は欲しくも無いし、考えたくも無い。  彼氏という単語を思い浮かべると、どうしてもある男を思い出さずにはいられないからだ。  
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