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「悪いな、バタバタで」と、大和さんが言った。
「何言ってんの」
千尋が、みんなを代表して言った。
「チゲ雑炊は食べられたから、良かった」と、麻衣さんが言った。
「珍しいね、夫婦喧嘩なんて」と、あきらがズバリ言った。
「あれって、やっぱそうなの!?」と、俺も聞いてしまった。
「さなえがあんなこと言うの、初めて聞いたな」と、陸さん。
「ま、色々あるわよね。言いたくなきゃいいけど?」
千尋にそう言われて、大和さんが深いため息をついた。グイッとビールを煽る。
「さっきさなえが言ったこと、俺が言っちまったことなんだよ」
「え? 結婚前に遊んだ方がいい、って?」
「そ。この前、地元の友達と飲んだ時にポロッと言っちまってさ。そいつは結婚もまだで、彼女もいないって愚痴ってたから、励ますつもりもあって言ったんだよ。結婚が全てじゃない、みたいな? それを、タイミング悪く、迎えに来たさなえに聞かれたんだよ」
「あーーー……。うん。マズいね」と、あきらが言った。
「別に、俺は結婚を早まったつもりはないし、失敗したとも思ってねーよ? 一般論として、焦んなって言いたかっただけでさ」
「それをさなえには言ったの?」と、千尋が聞く。
「言ったよ」
「許してもらえなかった?」
「……泣かれた。しかも、俺に隠れて」
「ショックだったんだねぇ」と、麻衣さん。
「けど、さなえなら大和の言葉が本心じゃないってわかってくれるでしょ?」と、あきら。
「どうだろな。気にしてないって言ってたのに泣いてたし、さっきみたいに言うってことは、やっぱ怒ってんだよな」
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