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「かすり、いつも悪いんだけど、手があいたら勝手にお茶でもコーヒーでも飲んでね。」
「はい。
お茶もらいますけど、飲みますか?」
「うん。
もらおうかな。」
切ったキャベツを水に浸す間に祖母がかすりに用意してくれた湯呑と祖母の湯呑にお茶を入れた。
「最近は変わりないかい?」
「はい。
仕事にも慣れてきました。」
「そうかい。
かすりは真面目だから、あんまり無理しないようにね。
私らじゃ頼りないかもしれないけど、何かあったら相談しなよ。」
「そんな……頼りないだなんて……。」
これは祖父母がかすりの前に現れた時からずっと言ってくれている事だった。
だから普段は人にたよらないかすりも、会社に入る時の保証人になってもらうようお願いすることができた。
だけど、やっぱり困ったときにすぐに祖父母に相談する気にはなれない。
それをわかっていて、祖母は事あるごとにそう言ってくれるのだ。
「だけど、嬉しいです。
困った時は泣きつきますから、逃げないでくださいね。」
「逃げるもんかい。」
祖母は笑って答えた。
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