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αとΩだとか
白崎慶二郎。それが俺の名前。
"白崎" その名前は有名だ。
α家系の1つで、政界を牛耳ってる政治家一家。
代々の当主様はみんな純α(αとΩ遺伝子両方を持つα男性。αの中でも一握り、全人口の1%しかいないエリート)。
俺はその家の当主様の、愛人の子供として生を受けた。
愛人だからといって、別段疚しい関係とかそういうのじゃない。β社会で不倫なんていうのはボッコボコにされるけど、αとΩのこの閉鎖された"純αを残すためだけの世界"で不倫は許される。
だから俺は愛人の子供だからといって迫害されたり、邪険にされたりだとかそういうのはなかった。
むしろ大切に、それこそどこぞのお姫様並みに丁重に扱われてきた。
俺がΩだったから。
Ωは基本的に精神的にも身体的にもストレスに弱いとされる。また多くが免疫不全を持つ。特に、純Ω(Ω遺伝子のみを持つ女性。生殖能力はかなり高い)は成人まで無事に生きられるかどうか怪しいレベルで弱い。
かつては迫害されていたこともあったけれど、単純に考えてΩの減少はαの首を締めることになる。特に世界の行く末を牛耳ってる純αにとっては大問題だ。
Ωがいないと純αは生まれない。
だから、α達はΩを過剰なまでに保護している。
Ωである俺も、保護の対象ってわけだ。
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