クソ中のクソ

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山南夫妻特に、旦那は弱みさえ握ってしまえば使えるに違いない。 だがしかし今後の方針はまだ未定ではある。 しばらくマークし続け、チャンスを伺う 名倉は、胸を躍らせると同時に、いよいよこっち側の世界に片足つけてしまったという、複雑な面持ちであった。 が、名倉の緊張感の甲斐もなく、特に動きもない日が数日続いた。 その間、張り込んでみたり尾行してみたりするも、特に変わり映えなく、新たな出来事もなかった。 そんなある夜だった、繁華街にて桂木と夕食を共にし、俺はコーポスエヒロへ、桂木は事務所に一旦戻る為に別れ、俺は路地裏に止めた車に向かって歩き出した。 あのスナックを曲がった路地の先に車を路駐している。 路地に入り、数歩進んだ時であった。 目の前が、真っ暗になる。 荒めの生地?が顔を擦りひりついた 背後から何かを被せられた? そう思うと同時に、前から腹に硬い何かの衝撃で、体がくの字に曲がり倒れ込んだ。 被されたのは多分麻袋のようなもの、首周りをぐるぐると紐縛られる、背面にて両手をも縛られる。 「誰や!おらぁ!?誰や!」 そう叫ぶも相手型からの返答はなく、やや荒いいい気遣いのみが俺の耳に届いた。 二人?いや三人がかり?で、なにかしらの乗り物?に放り込まれた? 乗り物なのか? クッション性がある 車だ。ドアを閉める音がした。 「喋んな、なんも聞くな、黙っとけば何もせんけんが。」 ここで、実行犯その1の声を耳にする。 「お前ら、、」 そう口を開いた瞬間に、麻袋の上から顔面に衝撃が全身に響いた 口の中に鉄の味が広がる。 「だまっとけて。」 そう一言溢し、車は動き出した。 俺、拉致られた。 桂木は大丈夫か? 若い衆たちは大丈夫か? 無言のまま、車はすすむ。 どこへ向かっているのか? 誰に拉致られたのか? 俺は何をしたのか? 全くわからないまま、車は走る。 しばらく走ったか? 体感時間では長い感覚。 そんな静寂の中 「お前さ、馬鹿とや?」 そう一言、前方から声をかけられた。 俺に言ってるのか?同乗者に言ってるのか? 前は見えんし、喋るなと言われている。 返事はしなかったがソイツはさらに続けた。 「あんなチンピラもどきが、単独でなんかやるとか思っとうと?」 チンピラもどき? 一体なんのことだ?
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