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「あの・・・ありがとうございました!」
そう言って深々と頭を下げた叶の頬は火が出てしまうのではないかと言うほど熱くなってしまっていた。
「どういたしまして。さ・・・もう頭を上げて?」
そう言ってクスクスと笑ったその人に叶は『はい』と返事を返し、下げていた頭をゆっくりと押し上げて姿勢を正すと先ほどよりも頬を熱くさせていた。
近い・・・。
叶がそんなことを思ったのも束の間のことだった。
叶は目の前に立っているその人に見惚れてしまっていた。
「・・・あ~・・・これ? あの~・・・コスプレ! あそこでイベントやっててさ・・・」
そう言って苦く微笑み『あそこ』とイベント会場を指差したその人の指の先など叶は見もせずに『そうなんですか・・・』と気のない返事を返し、その人のその姿を不躾なほどに見つめ見てその姿の美しさに驚かされてしまっていた。
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