エピローグ

7/7
2070人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
「なんや、悔しかばってん、ばりよか男ばい。これなら俺もなにもいわれん。お幸せに。」 みつやは少し面白くなさそうにそう言うと、横にいる或斗に目を向ける。彼も紅司のglareにあてられたわけで、まったくノーダメージとはいかないだろう。 「…ん?或斗、なに顔ば赤くしとーと!?」 しかし或斗は顔を赤らめてぼうっとしている。 みつやは一瞬それを紅司に惚れたのだと誤解したようだが、或斗の視線はしっかりとみつやの方を向いていた。 「…ちゅーしてもらえて、いいな…。」 みつやはそれを聞いて驚いたような表情を浮かべて。 「…仕方なかね。静かにできたご褒美ばい。」 ちゅ、と或斗の唇に軽いキスを落としたのだった。途端、或斗の白い頬がさくらんぼのように真っ赤に色づく。 「なんかよくわかんないけど、お幸せに!! …戻りましょう、紅司様。」 これ以上他人のいちゃいちゃなど見ていられないと、一葉はためらいがちに紅司の手をとり、駐車場の方へと軽く引っぱった。 「ああ、そうだな。」 紅司は爽やかに微笑み、一葉の引く方へ足を向ける。 しかし間も無くやや強い力で一葉の腕を引き、身体を引き寄せて。 「…さっきのことについての話は、あとでたっぷり聞かせてほしい。」 と、耳元で艶っぽく、わずかに怒りを帯びた口調で呟いたのだった。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!