番長・バナナ

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弥七郎の声はきちんと聞こえていた様で 大好は制服をきちんと整えて戻って来た そしてそれと時を同じくして 「番長ー!南雲参謀!」 「おはようございます!」 後輩の翔次郎と木(もくし)がやって来た 大好と弥七郎の2人はハッと思い出した 「そうだ、しばらくは皆交代で護衛につくんだったな?」 「ここのところ色々あったから忘れていたね」 そんな様子を九太郎老人は和やかに笑った 「ホホホ、大好君も弥七郎君も友達が沢山居て結構けっこう、これから仲良くするんじゃよ 気を付けて行ってくるんじゃよ」 「おう!」 「行ってきますね」 九太郎老人に見送られて、大好と弥七郎は後輩2人と共に出かけていった その通学路の道中で、木と翔次郎も 大好が父親になった事に触れた 「聞きましたよ番長、娘が出来たんたそうすっね?」 「番長の元で育つなんてその子はめぐまれてるなー、きっと礼節を弁えた良い子に育つでしょうね」 「ハハハ、そうだと良いけどな」 「俺達も子育て協力しますから、いつでも頼ってくださいね」 「そうそう、番長の娘なら、つまりお嬢ですからね!」 そう言って盛り上がる3人 この状況に弥七郎は少し頭を抱えた 『まずいなー、皆すっかり祝福ムードの協力ムードだ こうなると余計に諦めさせにくくなる この調子だと他の後輩達も賛成してるんだろうなー? でも、必ず突破口を見つけるぞ』 そうして弥七郎が意気込んだ時 木がこんな事を言った 「しかし、俺は少し心配です」 「心配?」 「おい佐村河内(サム)、番長じゃ子育てが無理だとでも言いたいのか?」 「いいやそうじゃねえよ、番長の娘となると番長を良く思ってないクズ共とかに狙われるじゃないかと思ってよお」 「あっ、そうか、わりー、突っかかっちまって」 「いや良いぜ、俺も言い方が良くなくなかったからな」 それを聞いていた弥七郎は 『これは少し使えるかも』 と、考えた 「ヒロちゃん確かにそれは心配だね よい子ちゃんが悪意に狙われでもしたら」 弥七郎がそう突っ込むと 大好は思う所が有るのか、顔が曇る 「まあ確かにな、そこに関しては何かしら考えとく必要があるな」 「大丈夫ですよ番長!俺達がお嬢の身もしっかり護りますから!」 「そうっす!番長と娘さんに悪意は触れさせません!」 翔次郎と木が必死にフォローした この2人がフォローに入る事は 弥七郎も想定の内、そして計算通りだった 「だけど…」 弥七郎がこれからの突破口を開く為の重言を言おうとしたその時…
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