夏の校舎の大人たち

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ごー よんー さんー にー いーち ゼロー!! 空に、花火があがる。 屋上から見る花火は、とても近い。 なんというか、とても贅沢な景色だ。 「すごい!!すごいです!!けっこう本格的……」 「本校生徒会の一大イベントだからな」 ハートに顔に花模様。 様々な形が夜空を彩る。 「やっぱり、文化祭ってすごく好きです」 「俺も、今年は好きになったよ、文化祭」 「あー!まーた千波が美玖ちゃん口説いてるー!」 「千波がんばれー!!」 下からはクラスの生徒の声。 それに、千波が返す。 「今、いいとこだから邪魔するな」 え?いいとこって?美玖は混乱する。 千波は、まっすぐ美玖を見て、言う。 ああ、この感じ。 緊張して脈が速くなる。 「文化祭の花火は、好きな相手と見ると恋が叶う」 「それってどういう意味、ですか……?」 「そのままの意味」 千波は美玖の頭をわしゃわしゃ撫でて乱して、校舎に戻っていく。 「え?!待って、待ってください!金子先生!!」 千波は振り返らず、ひらひらと手を振る。 肝心なとこで意気地なし。 まったく、明日からどういう顔して会えばいいの? 夏の終わり。 大人も子どもも、学校は恋が生まれる場所。 かもしれない。 ―おわり―
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